裁判員制度Q&A 
                 最終更新日:2015年10月21日 
                
                
                 Q1 裁判員制度とはどのような制度ですか? 
                
                   
                  
                    A1 裁判員制度は国民の皆さんに裁判に参加していただく制度です。
                    
                     裁判員制度は,個別の事件について,国民の皆さんから選ばれた6人の裁判員の方に,刑事手続のうち地方裁判所で行われる刑事裁判に参加してもらい,3人の裁判官と一緒に被告人が有罪か無罪か,有罪の場合どのような刑にするのかを決めてもらう制度です。
                     裁判員制度では,裁判の進め方やその内容に国民の視点,感覚が反映されますので,その結果,裁判全体に対する国民の理解が深まり,裁判がより身近に感じられ,司法への信頼が高まっていくことが期待されています。
                  
                 
                 Q2 どのような事件を扱うのですか? 
                
                   
                  
                    A2 裁判員裁判の対象事件は,一定の重大な犯罪であり,具体例は次のとおりです。
                     
                  
                  
                    -  人を殺した場合(殺人) 
 
                    -  強盗が人にけがをさせ,あるいは,死亡させた場合(強盗致死傷) 
 
                    -  人にけがをさせ,その結果,死亡させた場合(傷害致死) 
 
                    -  ひどく酒に酔った状態で,自動車を運転して人をひき,死亡させた場合(危険運転致死) 
 
                    -  人が住んでいる家に放火した場合(現住建造物等放火) 
 
                    -  身の代金を取る目的で,人を誘拐した場合(身の代金目的誘拐) 
 
                    -  子どもに食事を与えず,放置して,死亡させた場合(保護責任者遺棄致死) 
 
                    -  財産上の利益を得る目的で覚せい剤を密輸入した場合(覚せい剤取締法違反) 
 
                  
                  
                    などです。
                    
                      このような事件であっても,被告人の言動等により,裁判員やその家族に危害が加えられたり生活の平穏が著しく侵害されるおそれがある場合や,審判に要する期間が著しく長期になることが見込まれる場合(平成27年12月12日から)で裁判員の参加が非常に難しいような事件では,裁判官のみで裁判を行うことがあります。
                  
                 
                 Q3 どのような人が裁判員に選ばれるのですか? 
                
                   
                  
                    A3 20歳以上で選挙権のある方から裁判員を選びます。
                    
                     20歳以上で衆議院議員の選挙権がある方であれば,原則として誰でも裁判員に選ばれる可能性があります。
                     ただし,20歳以上で選挙権のある方でも法律上,裁判員になることができない場合もあります。
                  
                 
                 Q4 裁判員になれないのは,どのような人ですか? 
                
                   
                  
                    A4 次のような方は裁判員になることができません。
                    
                     欠格事由のある人=一般的に裁判員になることができない人
                  
                  
                    -  国家公務員法38条の規定に該当する人(国家公務員になる資格のない人) 
 
                    -  義務教育を終了していない人(義務教育を終了した人と同等以上の学識を有する人は除く) 
 
                    -  禁錮以上の刑に処せられた人 
 
                    -  心身の故障のため裁判員の職務の遂行に著しい支障のある人 
 
                  
                  
                     就職禁止事由のある人=裁判員の職務に就くことができない人
                  
                  
                    -  国会議員,国務大臣,国の行政機関の幹部職員 
 
                    -  司法関係者(裁判官,検察官,弁護士など) 
 
                    -  大学の法律学の教授,准教授 
 
                    -  都道府県知事及び市町村長(特別区長を含む) 
 
                    -  自衛官 
 
                    -  禁錮以上の刑に当たる罪につき起訴され,その被告事件の終結に至らない人 
 
                    -  逮捕又は勾留されている人   など 
 
                  
                  
                     事件に関連する不適格事由のある人=その事件について裁判員になることができない人
                  
                  
                    -  審理する事件の被告人又は被害者本人,その親族,同居人など 
 
                    - 
                      審理する事件について,証人又は鑑定人になった人,被告人の代理人,弁護人等,検察官又は司法警察職員として職務を行った人など
                    
 
                  
                  
                     その他の不適格事由のある人
                    
                     その他,裁判所が不公平な裁判をするおそれがあると認めた人
                  
                 
                 Q5 裁判員はどのようにして選ばれるのですか? 
                
                  
                    A5 裁判員は,20歳以上で衆議院議員の選挙権を有する人の中から選びます。
                       具体的な裁判員選任の流れは次のとおりです。
                  
                  
                 
                 Q6 裁判員に選ばれる確率はどれくらいですか? 
                
                  
                    A6 だいたい10,800人に1人程度です。
                    
                     平成26年に裁判員等に選ばれた人は,裁判員は6,938人,補充裁判員は2,333人でした。
                     これを前提にすると,裁判員等に選ばれる確率は,全国で1年あたり,20歳以上で選挙権のある方の10,800人に1人程度(約0.01%)となります。
                     なお,裁判員等を選ぶ手続(選任手続)のために選任手続期日のお知らせをお送りする裁判員候補者の人数については,裁判の日数が4日以内の事件の場合,1件あたり70人程度を想定しています。
                  
                 
                 Q7 裁判員を辞退することはできないのですか? 
                
                  
                    A7 基本的にはできませんが,法律等で認められた事情がある場合は辞退することがで
                        きます。
                    
                     裁判員制度は,特定の職業や立場の人に偏らず,広く国民に参加してもらう制度ですので,原則として辞退はできません。
                     ただし,参加する個々の国民の負担が,過度なものとならないようにとの配慮などから,法律や政令に例えば次のような辞退事由が定められており,裁判所がこれらの事情にあたると認めれば辞退することができます。
                  
                  
                    -  70歳以上の人 
 
                    -  学生,生徒 
 
                    -  妊娠中・出産の日から8週間以内 
 
                    -  妻・娘の出産のための入退院の付き添いまたは出産の立ち会い 
 
                    -  重い病気やけが 
 
                    -  親族・同居人の通院等の付き添い 
 
                    -  親族や同居人の養育・介護 
 
                    -  とても重要な仕事があり,自分で処理しないと著しい損害が生じるおそれがある 
 
                    -  父母の葬式への出席など社会生活上の重要な用務があって,別の日に行うことができない 
 
                    - 
                      過去一定期間内に,裁判員等の職務に従事したり,裁判員候補者等として裁判所に行ったことがある人(辞退が認められた人は除く)
                    
 
                    -  重大な災害で被害を受け,生活再建のための用務がある(平成27年12月12日から) 
 
                  
                 
                 Q8 交通費や昼食代などは支給されますか? 
                
                  
                    A8 日当,交通費,宿泊料は必要に応じて支払われます。
                    
                     裁判員候補者や裁判員等になって裁判所に来ていただいた方には,日当や交通費が支払われ,裁判所から家が遠いなどの理由で宿泊しなければならない場合には宿泊料も支払われます。
                     日当の具体的な金額は,裁判員候補者の方は1日あたり8,000円以内,裁判員及び補充裁判員に選ばれた方は1日あたり1万円以内で,選任手続や審理等の時間に応じて決められています。
                     なお,日当などは,事前にお知らせいただいた預貯金口座に振り込んでお支払いします。
                  
                 
                 Q9 裁判員は何日ぐらい裁判に参加するのですか? 
                
                  
                    A9 裁判員裁判の多くは5日前後で終わっています。
                    
                     実際に裁判員として裁判所に来ていただく日数は,それぞれの事件の内容により異なりますので,一概にはいえません。
                     しかし,裁判員裁判では,法廷での審理を始める前に裁判官,検察官,弁護人の三者でポイントを絞ったスピーディーな裁判が行われるように,事件の争点や証拠を整理し,審理計画を明確にするための手続(公判前整理手続)が行われます。
                     裁判員の皆さんに参加していただいた事件の多くは,5日前後で終わっています。
                  
                 
                 Q10 裁判員になったことを家族や親しい人に話してもよいのですか? 
                
                  
                    A10 公表してはいけませんが,身近な人に話すことはかまいません。
                    
                     法律上,何人も,名前,住所その他裁判員であることを特定するに足りる情報を公にしてはならないとされ,裁判員自身が,自分が裁判員であることを公にする場合も含みます。
                     これは,裁判員への接触や働きかけを防ぎ,裁判員自身の平穏を保護するとともに,裁判員裁判の公正さを確保する目的もあるからです。
                     そこで,例えばインターネットで自分が裁判員になったことを公表することは許されませんが,日常生活の中で,家族や親しい人に話すことまでは禁止されません。
                     なお,裁判員でなくなった後に,自分が裁判員であったことを公にすることは禁止されていません。
                  
                 
                 Q11 トラブルに巻き込まれたりしないですか? 
                
                  
                    A11 裁判員は法律で保護されています。
                    
                     裁判員の名前や住所などの情報は,公にしてはならないとされています。
                     また,事件に関して裁判員に接触することも禁止されています。
                     裁判員に頼み事をしたり,裁判員やその家族を脅した者には,刑罰が科せられることになっています(2年以下の懲役又は20万円以下の罰金)。
                     なお,裁判員やその親族に危害が加えられるおそれがあり,裁判員の関与が非常に難しいようなごく例外的な事件については,裁判員が加わらず裁判官だけで裁判をすることも法律に定められています。
                  
                 
                 Q12 裁判員は,法廷で何をするのですか? 
                
                  
                    A12 裁判官と一緒に審理に出席していただきます。
                    
                     裁判員は,裁判官と一緒に,公開の法廷での刑事事件の審理(これを「公判」といいます。)に出席します。
                     公判では,証拠として提出された凶器などの物や書類を取り調べるほか,証人や被告人等に対する質問が行われます。
                     裁判員も,証人や被告人等に質問することができます。
                     また,裁判員制度での審理は,法律実務の専門家でない皆さんに参加していただくために,裁判員の方にできる限り負担のかからないような工夫がなされます。
                     例えば,争点の判断に必要な証拠を厳選して証拠調べを行うなど,できる限り法廷での審理を見たり聞いたりするだけで事件の内容を理解できるように工夫された審理が行われます。
                  
                 
                 Q13 評議では何をするのですか? 
                
                  
                    A13 裁判官と一緒に被告人の有罪・無罪,有罪の場合の刑を決めていただきます。
                    
                     裁判員に選ばれると,他の5人の裁判員や3人の裁判官と一緒に刑事裁判の審理に出席し,証人尋問や被告人質問といった証拠調べ手続や,検察官や弁護人の主張を聴く弁論手続に立ち会います。
                     その上で,評議において裁判官と対等の立場で議論をし,お互いに自分の意見を述べるとともに,お互いの意見をよく聞いて,議論を尽くして,被告人が有罪か無罪か,有罪の場合はどのような刑にするかを決めることになります。
                  
                 
                 Q14 法律の知識がなくても大丈夫ですか? 
                
                  
                    A14 大丈夫です。日常生活で行っている判断をしてください。
                    
                     裁判員は,法廷で聞いた証人の証言などの証拠に基づいて,他の裁判員や裁判官とともに行う評議を通じ,被告人が有罪か無罪か,有罪だとしたらどのような刑にするべきかを判断します。
                     例えば目撃者の証言などに基づいて,被告人が被害者をナイフで刺したかどうかを判断することは,皆さんが,日常生活におけるいろいろな情報に基づいて,ある事実があったかなかったかを判断していることと基本的に同じであり,特に法律知識は必要ありません。
                     なお,有罪か無罪かの判断の前提として法律知識が必要な場合は,裁判官から分かりやすく説明されますので,心配ありません。
                  
                 
                 Q15 評議を尽くしても,全員の意見が一致しなかったらどうなるのですか? 
                
                  
                    A15 多数決で結論を出します。
                    
                     評議を尽くしても全員の意見が一致しなかったときは,多数決で結論を出します。
                     この場合,被告人が有罪か無罪か,有罪の場合にどのような刑にするかについての裁判員の意見は裁判官と同じ重みを持つことになります。
                     ただし,裁判員のみで被告人に不利な判断(被告人が有罪か無罪かを決める場面では,有罪の判断)をすることはできず,裁判官と裁判員の双方の意見を含んでいることが必要です。
                  
                 
                 Q16 裁判員は,その事件に関するニュースや新聞を見てもよいのですか? 
                
                  
                    A16 いつもどおり,見てもかまいません。
                    
                     帰宅された後は,テレビを見たり新聞を読んでいただいて構いません。
                     しかし,裁判員として判断していただく際は,あくまで法廷で示された証拠だけに基づいて判断していただくことになります。
                  
                 
                 Q17 見聞きした事実について,話してもよいのですか 
                
                  
                    A17 法廷で見聞きしたことや裁判員を務めた感想は,話してもかまいません。
                    
                     証人尋問の内容など公開の法廷で見聞きしたことや裁判員として裁判に参加した経験や感想であれば,基本的に話しても大丈夫です。
                     逆に,漏らしてはいけない秘密には,評議の秘密と,評議以外の裁判員としての職務を行うに際して知った秘密とがあります。
                     評議の秘密には,例えば,どのような過程を経て結論に達したのかということ,裁判員や裁判官がどのような意見を述べたかということ,その意見を支持した意見の数や反対した意見の数,評決の際の多数決の人数が含まれていると考えられています。
                     また,評議以外の裁判員としての職務を行うに際して知った秘密には,例えば,記録から知った被害者など事件関係者のプライバシーに関する事項,裁判員の名前などが該当します。
                  
                 
                 Q18 どうして守秘義務が課されているのですか? 
                
                  
                    A18 裁判の公正と信頼を確保するためです。
                    
                     守秘義務が課されているのは,裁判の公正さやその信頼を確保するとともに,評議で裁判員や裁判官が自由な意見を言えるようにするためです。
                     評議で述べた意見や経過が明らかにされると,後で批判されることを恐れて率直な意見を述べることができなくなってしまうおそれがあります。
                     また,例えば,記録から知った被害者など事件関係者のプライバシーに関する事項,裁判員の名前などは,当事者にとって他人には知られたくないものが含まれている可能性が高く,不必要に明らかにされないようにしなければならないことから守秘義務の対象とされています。
                     なお,裁判員の守秘義務は,裁判員として裁判に参加している間だけではなく,裁判員としての役目が終わった後も守らなくてはならず,この義務に違反した場合,刑罰が科せられることがあります。