最終更新日:2023年5月22日
                    刑事政策的取組~誰ひとり取り残さない社会の実現に向けて~
                    
                     広島地方検察庁では、「犯罪被害者保護・支援」、「再犯防止・社会復帰支援」、「児童虐待対策」など、
                    刑事政策に関わる諸課題について総合的に取り組んでいます。
                  
                     犯罪が発生したとき、その事件の真相を明らかにし、加害者に対して犯した罪の重さにふさわしい刑罰を科すためには、犯罪被害者を始めとする関係者に警察・検察庁での事情聴取に応じていただいたり、裁判で証言していただくなど、その協力を得ることが必要となります。
                     一方、犯罪によって様々な困難に直面した被害者の方に対しては、それぞれの実情に沿った適切なサポートが必要な場合が少なくありません。犯罪被害者保護・支援の制度は、刑事手続の中に、法律として定められているものもあれば、それ以外のものもあります。
                     捜査や裁判における犯罪被害者保護・支援の制度については、ご協力いただいた際にご説明をするようにしています。また、全国の検察庁において、被害者等通知制度により事件の処分結果等に関する情報を犯罪被害者等の方に提供したり、各庁に被害者支援員を配置し、きめ細やかな支援を行うなどして、犯罪被害者等の方お一人お一人が精神面、身体面、経済面で適切なサポート等が得られるよう、関係する機関や団体等との連携を図っています。
                    
                     犯罪被害者の方々へ(法務省ページへのリンク)
                    
                     犯罪被害者の方々へ(広島地方検察庁ページへのリンク)
                     
                  
                     広島地方検察庁では、主に再犯防止を専門に行う部署として「刑事政策総合支援室」設け、社会福祉士を「社会福祉アドバイザー」として配置し、
                    起訴猶予等の不起訴処分が見込まれる被疑者や裁判で全部執行猶予判決が見込まれる被告人に対する円滑な社会復帰・更生に向けた適切な助言と社会復帰支援を行っています。
                     このように、検察は警察と共に罪を犯した者を取り締まり、裁判にかけること(犯罪の事後対処)を使命とする一方で、そもそも罪を犯させないこと(犯罪の事前予防)にも努めています。
                  
| 検察官からの相談件数 | 面談・支援等件数 | |
| 令和2年度 | 164件 | 126件 | 
| 令和3年度 | 174件 | 136件 | 
| 令和4年度 | 136件 | 124件 | 
                    
                    Q1 なぜ、社会復帰支援が必要なのですか?
                     
                     罪を犯す人の中には、何らかの事情により追い込まれて犯罪に及んでしまうという人が少なくありません。
                     例として、稼ぎがなく食べるものに困って食品を盗んだり、障害を抱えているものの必要な支援を受けられず生活が立ち行かなくなって他人から無理矢理お金を奪った場合などが挙げられますが、そういった人もいずれは釈放され、地域社会に戻って、通常の市民としての社会生活を送ることになります。
                     しかし、状態(仕事がない、然るべきフォローがない)が何も変わらなければ、再び犯罪に及んでしまいやすいことは明らかです。
                     そこで、犯罪に及んだ人を取り巻く「環境」に着目し、それを改善して再犯に及んでしまうことを防止しようというのが、社会復帰の支援の趣旨です。
                     すなわち、稼ぎがないのであれば就労や生活保護の受給を支援し、もし何らかの障害を抱えているのであれば然るべき支援につなぐなどして、罪を犯しやすい従前の環境を改善し、釈放後に社会に適合しやすくすることで罪の発生を抑制するのです。
                     
                    Q2 どのような人を支援するのですか?
                     
                     支援を受ける意思があり
                    (1) 不起訴処分、略式命令請求若しくは公判請求により罰金等の財産刑のみに処せられ、又は執行猶予が付された判決を受けることが見込まれる被疑者又は被告人であり
                     かつ
                    (2) 高齢、知的障害・精神障害等の障害、病気、貧困等の困難を抱え、独力での社会復帰が困難であり、そのまま釈放したのでは再犯に及ぶおそれが高く、その再犯を防止し、円滑な社会復帰をするための支援を必要とすると思われる者
                    です。
                     
                    Q3 例えば、どのような人が支援を受ける者として想定されますか?
                     
                    ◇ 高齢者(65歳以上)
                    ◇ 障害者等(知的障害、精神障害、発達障害、身体障害、難病、認知症等を抱える者)
                    ◇ 病弱者(精神的・身体的病気のために福祉的な支援が必要な者)
                    ◇ ホームレス(路上生活やネットカフェ生活をするなど、安定した住居がない者)
                    ◇ 貧困者(資産、収入がないか少額で、独力で生活できる資力のない者)
                    ◇ その他、福祉的な支援を必要とする者 等
                     
                    Q4 社会福祉士であるアドバイザーは、検察庁でどのようなことをされているのですか?
                     
                     福祉の専門家としての知見やネットワークを活用して、支援に関わる検察官や検察事務官をサポートします。
                     具体的には、事件を担当する検察官等から被疑者等に関する社会復帰支援の相談を受け、生活再建支援策を提案し、対象者と面談した上、生活保護、介護保険、年金など、対象者ごとに必要な福祉サービスに関する助言を行うほか、支援実施に際して協力を得る関係機関との調整等を行います。
                    
                    Q5 福祉的支援ではどのようなことをしているのですか?
                     
                     福祉機関と連絡・調整し、対象者に同行して生活保護等を受けるための手続に付き添う同行支援をしたり、必要な治療を施すことのできる医療機関に医療保護入院等をさせることや、複数の問題を抱えている対象者については、社会福祉関係機関が主催して開催される医療機関の関係者等も加わったケア会議や対策会議に参加して、各機関の協力の下、より効果的な社会復帰支援策を検討し、実施していく取組も行っています。
                     
                    Q6 保護観察所とはどのように連携しているのですか?
                     
                     更生緊急保護制度を活用し、保護自立更生が困難な対象者を更生保護施設等に宿泊させた上での福祉サービスの調整や、就労支援等の社会復帰支援につなげるなどの支援も行っています。
                     
                     広島県との就労支援協定~再び能力を発揮して社会復帰するために~
                    
                     犯罪をした人の中には、捜査や裁判が終わって釈放となったときに、仕事も家もないため生活が成り立たず、再び犯罪をする人が少なくありません。
                     彼らが再び社会に戻って更生するためには、就労と居住環境の整備が極めて重要です。
                     そこで、広島地検では、新たな取組として、広島県との就労支援協定を結び、令和3年9月から県が委託契約した就労支援事業者機構との実効性のある連携を始め、住居の確保や就労支援等に関する幅広で手厚い支援体制を構築しています。
                    
                    
                    
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                     【広がっています。#再犯防止(1)】立ち直りの当事者と語る再犯防止
                    
                     【広がっています。#再犯防止(2)】検察における入口支援
                  
                     児童虐待事案の検挙件数は増加傾向にあり、社会的関心も高まっています。
                    広島地方検察庁では、児童虐待事案に的確に対処するため、警察や児童相談所等の関係機関と連携して情報共有を行うほか、捜査においては検察、警察及び児童相談所の三機関のうちの代表者が被害児童から聴取することで、被害児童の負担を軽減し、供述の信用性を確保するなどの取組を行ったり、専門的な医学的知識を基にした的確な立証に向けて医療関係者から意見・助言を得るなど、医療機関等とも連携を図るなどしています。
                     また、刑事手続終了後も加害者と被害児童が同一の環境で生活することが考えられることから、児
                    童相談所や地域の関係機関と情報を共有するなどして、再犯・再被害防止を図っています。